10月20日(金)

松本伊代ちゃんの東京公演に行って来ました!

場所は東京のど真ん中、大手町三井ホール

去年ビルボード横浜で何十年ぶりかのソロコンサートを再開したという伊代ちゃん。もちろん私は伊代ちゃんのライブを見るのはこの時が初めて。

そもそもきっかけはというと去年の夏の出会い。早見優ちゃんの40周年ベスト盤に収録される新曲のレコーディングで初めて伊代ちゃんご本人と会った次第。

優ちゃん伊代ちゃん森口博子ちゃん、よっちゃん(野村義男さん)と、華々しい顔ぶれのレコーディングだった。

明日、歌入れで伊代ちゃんが来るというので私の曲は何かあっただろうかと検索してみると作曲で一つ見つかった。

「お楽しみはこれから」作詞家はSHOWとなっている。

どんな曲だったか全く覚えておらずストリーミングで聴いてみて、あ!なるほどこれね!と思い出した。

サブスクには編曲家のクレジットがなくそれが鷺巣くん(鷺巣詩朗)と気づくまでには相当月日が経ってからで、しばらくは自分のアレンジだと思い込んで聴いていた。

話が伊代ちゃんから少し逸れるが、80年代半ばのこの頃はアイドルだけが忙しいわけではなく我々裏方の作家も同じように超多忙を極めており、いつ誰にどんなタイトルでどんな作曲を、またはアレンジを、というのを覚えていられるはずもない。

アイドルたちが「何も覚えてない」というのは当然の事、こちらも日々不眠不休というわけではないにしてもあまりに曲数が多過ぎて、ことさら作曲だけだと楽曲制作として費やしている時間が編曲に比べて俄然短いので思い出せない場合が多いというものだ。短いというと誤解されるので、言い直すとアレンジは時間が掛かり過ぎる超重労働なひとりブラック作業。作曲はそれに比べれば、という意味なので誤解なきよう。

作曲にせよ編曲にせよ、もちろん聴けばこのように「ああ!これね!」となる。

「お楽しみはこれから」を明日スタジオで初めて逢う伊代ちゃんとのご挨拶用にも聴かなくては、と改めて聴くと、イメージをはるかに超えて唄がめちゃくちゃ上手い。

大変に失礼な話だが、あまりに唄が良くてこの曲を書いていて良かったと思った。

伊代ちゃんの声は個性的で他のアイドルとは一線を画した存在であることは認識していたがしみじみ聴くと最初っから上手いアイドルもいる・・・というより80年代アイドルやっぱりクオリティー相当高いぞ、と再認識する。

当時はこぞって皆がアイドル歌が下手、などと言っていたのだがそれは大間違いだった。

録音技術や機材がすっかり変わりピッチやタイミングなど色々と編集、修正出来る今になったからこそわかることである。ましてや表情はこれだけ技術が進化しても描き切ることは不可能だ。

この曲についてもう少々。

アレンジも自分だと思い込み何度か聴いているうちに、良いと思うところとおかしいと思うところが出て来た。

アレンジの良し悪しのような話ではなく自分の割にはと言う違うレベルのマニアックな事なのだが、まずAメロでベースが8つ打ち、素晴らしくシンプルで垢抜けている。ちょっと待てよ?こんなこと85年の私に思い付けたか?とアレンジが自分というのを疑う。

また、A中のオブリのスタート音が#11th.から始まっている。

これは疑わず、やっぱりさすがだなと勘違いの自画自賛である。

変だな・・・と思う箇所としては歌い出しAの冒頭でクラッシュシンバルが鳴っている。これはなくていいのにどうしたことか。打ち込み故に余りわかってなかった当時の自分だったか?サビ前のドラムフィルがどうしても不自然で納得がいかない、サビ中のオブリ(フルート)がちょっと音数が多くて小賢しい、などが出てきた。

多分二、三ヶ月は気付かずてっきり自分のアレンジだと思っていた。自分を含め書いているので申し訳ないところではあるがそれくらい当時のアレンジャーはみんな落ち度がなく、自分のやった仕事ですら見間違うほど近いところで鎬を削っている秀作が揃っていたということだ。検索すると編曲 : 鷺巣詩朗と判明して大変に納得いくところであった。いやはや、なんともマニアックで面白い話だ。

さて、伊代ちゃんの事に話を戻すと、この曲を書いていたにも関わらず30数年後に初めて逢う事になったわけだ。

しかしそんなアイドルは沢山いる。逢えるほうが断然貴重、希少というものだ。縁があってこうして時を経て逢えるとは嬉しいではないか。ある意味奇跡・・・。

スタジオでの伊代ちゃんはじめ、優ちゃんよっちゃん森口博子ちゃん、このサイトでも書いているがまるでテレビを観ているかのような素晴らしく滑らかでユーモアに富んだトーク、常にカメラが回っているかのような適応力にも驚かされた。

制作の若い人と思わず「やっぱり格が違いますね!」と言葉にしてこちらもテンションが上がった。

そして伊代ちゃんの歌入れの時、トークバックでのやり取りがあるのだがここで不思議なものを感じた。ちょっとした咳払いや頷き方、そのタイミングや言いようはまるで自分だった。これには驚いた。今までにこういう人に会ったことがないのできっと似ているところがあるんだろうなと、音楽とは関係ないけど妙な、しかしそれは良い感触であった。環境や待遇、年齢とは関係のない、どこか感覚的にある奥底のもので非常に近い部分があるに違いない。。。と限りない勘違いかも知れないこの事は当サイトの特典としてお許しを。

そんな出会いがあり、去年の秋にbillboard横浜にお招き頂きソロコンサートを観た。

その錚々たるメンバーの顔ぶれを予め聴いていて、とても楽しみだったが期待を裏切らない素晴らしい出来栄えだった。

なんといってもアレンジャーの大先輩、船山基紀さんがトータルプロデュースだ。編成は4リズムに2管、女声3声コーラスというなかなか聴き応えのある大編成。このような場合、しっかりとしたステージアレンジなくしては成立しない。2管を実に効果的に鳴らしていて船山さんさすがだと感動したものだ。

来年もぜひこのような素敵なコンサートを、と思っていた昨年の秋、伊代ちゃん圧迫骨折とニュースで知る。

同じケガをやっている私なのだが、もう少し深刻そうであった。

大変心配ではあったが年末年始のやり取りでは2023のコンサートについての話題にも触れ、復活は間違いないと思っていた。

なんと言っても「お楽しみはこれから」がセットリストに上がっているというのが嬉し過ぎた。

伊代ちゃんの持ち歌は限りなく多い。コンサートで一度も歌ったことのない曲も沢山あるだろうしこの曲ももしかしてそうかも知れない。

お目にかかれた事がきっかけで浮上して来た確率は非常に高いと考えるとこれは早見優ちゃんに感謝だろうし、さまざまな巡り合せ、ご縁に感謝だ。

さて、いよいよ当日。場所は東京、大手町三井ホールへ。

去年よりキャパが広いわけだがそれはそうだろう。昨年の出来映えからしてこのホールは相当と考えられる。

2回の入れ替え制ではなく1ステージに集中しての今回。

伊代ちゃんから聞いたとおり一曲目が「お楽しみはこれから」だった。神戸のほうが上手く曲紹介も出来たとの事だが、いやいや全然素晴らしかった。

作曲者名として名前を言ってもらった時には思わず隣の優ちゃんと歓声をあげ、周りに見られる一幕もあった。

さらに去年に増して感じた更なる可能性もある。

曲により声のトーンを変えて歌えることや表情が一層豊かである。

見事な使い分けだ。色々な曲調のものを歌わなくてはならないアイドルだが、それが上手に出来ていて更に良くなると予想をする私だ。

そう、伊代ちゃんにはアイドルを堂々とやって欲しい。

 

今年も昨年と同じ最高のメンバーに最高のプロデューサー。

どこをどう切り取っても極上のサウンドに痺れた。

山ちゃん(ドラム山木秀夫氏)は私が思う日本の最高峰だ。

確かでタイトな鳴りとビート。

思えばレコーディングスタジオで何百曲と叩いて貰っていてもライブを客席からというのはなかなかない事だ。

何度もいうが圧巻、本当に素晴らしかった。

「くれないホテル」のトラックで鳴っているストリングスの打ち込みの細かさにも頭が下がるばかりだ。

船山さんがトラックを作ったとキーボードの安部くんから説明を聞く。

こんな超一流の人たちの演奏に伊代ちゃんの歌は実に見合っている。同レベルと言って間違いない。

唄はもちろんの事、立ち振る舞いも完璧だ。

動くバービー・・・女の子の憧れではないか。

これも努力の賜物である。

終演後の楽屋では船山さんや山ちゃん、安部くんと音楽家雑談に花が咲き帰りが遅くなるという楽しい出来事もあった。

総合芸術として素晴らしいものを見せて頂き刺激を受け、

想いは熱いうちに書きたい、そんな昨日今日である。

 

 

みんなを幸せにする伊代ちゃんのコンサートは「Journey」とタイトルを付けている。

これまでの歴史と、そして誰もが「今から続く未来」に夢を描くことの出来る希望に満ち溢れたタイトルだ。

作家意欲を掻き立てられこういうことに悉く幸せを感じる。

伊代ちゃんを心から讃えたい!ありがとう〜〜〜・・・

 

 

 

より一層キラキラさせてみました!ステージの伊代ちゃん↑

実際は全然もっと眩しい・・・

 

センター ドラムの山ちゃん(山木秀夫)右 キーボードの安部くん(安部潤)