SONYが制作している「月刊偶像」(ゲッカンアイドル)という企画があります。
名前のとおり月刊で新曲をリリースしていくというわけですが、日本全国の多様なアイドルグループから、特に歌や声に魅力のあるメンバーをボーカルに迎えジャンルレスなミュージシャン達による楽曲提供で毎月リリース。個性豊かなイラストテーターとのタッグで生み出すイラストレーション主体のMVでアイドルの新しい魅力も発信していく。組み合わせを斬新な視点で選び日本が誇るポップカルチャー.アイドルの音楽的多様性を世界に発信することを使命とする、そう説明されています。
その3月号に山川を作曲編曲として起用して頂きました。
なんといってもこの企画はSONYのREDというレーベルの制作で、これまでもお仕事をしてきましたが殊更今回は担当がYOASOBIの屋城さん、ここが私にとって身に余る光栄と同時にかなりなプレッシャーでもありました。
SNS では打ち合わせからワクワク...とか書いてもいますがワクワクと共に激しい鬱に見舞われるのであります。これはもうどの曲も全部そうで遥か昔の80年代から同じこと。
何もまだ生まれてきていない状況から一歩ずつ形にしてくわけですがそれが全く見えていないスタート地点では本当に闇なのであります。経験からして必ずこの闇が少しずつ開けて来てやがて絶好調にまでなっていくのですがそれを一人で牽引していく力はなかなかのモノかと思います。
バンバンアイディアが降って湧いて来るなどということは決してなく絞り出すのですから。
さて、肝心のシンガーですがきっと決まるまで沢山の項目をクリアしてこのかたになったのであろうかと。選ばれたのがBEYOOOOONDSの島倉りかさん!
作詞はこれまたアーティスト性の高いTHE BINARYのmidoさん。どちらも初顔合わせ。
打ち合わせは年明け早々、1月6日でした。
場所はTHE BEYOOOOONDSが所属するアップフロントにて。
SONYの方3名、作詞のmidoさん、島倉さん、マネージャーさん、私の7名、曲の打ち合わせとしてはなかなか多めですが、アイドルグループにいる時の島倉りかさんではなかなか見えて来ない彼女の新たな一面を引き出せるようなそんな打ち合わせでご本人から沢山お話を聞く事ができました。なかなかこのような形を取って曲作りに入ることは私の経験からは稀なことですが、これがとても重要でした。
mido さんは歌詞を書くのでやはりキーワードが多く欲しいでしょうし、好きな色や季節や興味のある事柄など質問は尽きず多岐に渡りました。
その横で私は概ね聞くほうが多かったのですがまず島倉りかさんの雰囲気はというと品のあるかた、おっとりもしているけどアクティブ、など色々観察させて頂きました。アイドルの活動についてはしっかりとしたお考えもお持ちで聞いて感動も致しました。やっぱりプロはいいな!という感じですね!
それにしてもBEYOOOOONDSのメンバー、他のかたもハイスペックです!
月刊偶像の楽曲はこれまで、そのようなわけでグループにいる時とは違ったソロになるので曲のアプローチも様々、これまでの曲は比較的マイナーが多いとも話に出て来ました。
また島倉さんからはバラードも好きだと、その可能性ありという内容のお話も聞きました。
しかし、どうでしょう??山川の順番が来てマイナーでバラード...は数曲あればですが決めの1曲です。ナイナイ。。。そう思うとことに致しました(笑)
そこからはなんと誰にも会わずグループラインのみで進めて行きました。
第一段階の1コーラスdemoも担当D個人宛に送ろうかと迷いはしましたが、いやこれはみんなにも同時に聞いて貰っても問題ない、ダメな時はダメさと潔くグループラインに送るとものの10分くらいで「お洒落さと可愛さのバランスが絶妙で凄くいいと思います!」と返って来ました。ここをクリアできた時の喜びは半端ないです。
ここからは曲の土台にOKが出たので作詞家の出番にもなってきますし、その間に私はフルサイズに拡張していくことをやらなくてはです。
おそらく、このプロジェクトは「どうしましょう」もあるとは思いましたが自分でまずこれが良いのではという形を作り聞いて頂く方法が積極的でもあり良いと感じ、サイズのタイプをいくつかご提案しながら進めていきました。
初回打ち合わせでmidoさんと島倉さんのやり取りから島倉りかさん、ちょっと不思議なことも結構出てきました。
バラード、マイナー調もお好き・・・といいつつも「恐竜大好き」「海、夏大好き」
ふむふむ、恐竜ね。
その他には公表もされているけど昭和の音楽が大好きだそうで、出てきたお名前は大滝詠一さんや松田聖子さん、曲として寺尾聡さんもだそうです。
今回のことに関して記事では「昭和歌謡」という言葉を多く見かけましたが(この度の新曲についても)
少なくとも曲のタッチはそれではないことはここで言及しておきます。
これも私個人の捉え方なのではありますが、狙って昭和や聖子ちゃん、はたまた大滝さんのイメージは取り入れている部分もありはするけれど「歌謡」の要素はゼロだと考えて良いです。
全部洒落の範疇で島倉さんの「恐竜」も私の頭の中にいるのです。
作詞のmidoさんよりもっと曖昧な抽象的な、ただただイメージなのですが出てくる恐竜はみんな可愛くMVのアイテムの一つ、そんな感覚で曲を作りました。(本物の完成形MV に恐竜は多分いない)
3月26日に世界の皆さんに聞いて頂く時が来ます。
その頃、またこのレコーディングに関しての続きを書きたいと思います。
まだまだ色々とございますのでお楽しみに。
作家目線のダイアリーお読み頂きありがとうございました♡
泡沫ライラック
Vocal: 島倉りか (BEYOOOOONDS/#CHIKA#TETSU)
Music/Chorus: 山川恵津子
Lyrics: mido (THE BINARY)
Illustration: 蘇 詩帆
いつ来てもいいな〜乃木坂のSONY Studios
マスタリングエンジニア川元さん(黄色のカーディガンなのに後光のせいか黄金色にしか見えなかった)